2015年09月13日

延辺ゼミ合宿

8/16〜23まで中国延辺朝鮮族自治州でゼミ合宿を行った。1日目は北京に宿泊し、飛行機を乗り継いで延辺へ向かい、延辺大学の留学生寮に滞在した。
出発前の私の中にある中国のイメージはお世辞にも良いものとは言えなかった。食品に表記とは異なるものどころか食用以外の物質が混合されるなどの食品偽装問題、ルール無視の建築による道路や建物の陥没や倒壊などメディアによる様々なショッキングなニュースが負のイメージを形成し、不信感で一杯であった。更に日本が過去に中国に対して犯してしまった罪と近年の両国間の関係悪化が加わり、一種の罪悪感と無意識的に日本を擁護しようとする反感のようなもの、敵だらけの中に足を踏み入れるような恐怖など様々な感情が交差していた。

中国ではやはり日本の文化は通用せず、驚かされることばかりであった。まず驚いたのは接客である。客は商品を選ぶとき手に取ったり、試しに身につけてみたりするものであるが、それにより乱れた陳列を客の目の前で直す。商品は汚れるからと触らせない。客にべったり付いて回ることが多く監視されているようで兎に角落ち着かない。比較的高級なレストランでケーキを注文した時も注文を忘れてたいた上、ケーキのパックを取りながら店員がやってきて失笑してしまった覚えがある。どれも日本でしてしまえば注意されるのは勿論のこと、最悪クビにされるような対応であり、日本人が不快感を覚えるのも無理はない。しかしよく考えてみれば、売り手は常に買手より下の立場に立ち、「買っていただく」という接客の価値観自体が日本のものであり、この価値観を中心として中国をみても通用しないのは当然のことである。
延辺大学で行われたシンポジウムにおける日本人と中国人の価値観の違いをテーマにした公演で聞いたことだが、日本人はある人から手伝いましょうかという趣旨の好意の申し出を受けてそれを断る場合、一般的に折角の好意に添えなくて申し訳ないとまず謝罪をする。一方で中国人はまず好意に対する感謝をし、これからの関係に言及するようである。日本人は依頼だけでなく、様々な事柄において上下関係を作り出し相手の下に立つことを礼儀とするが、中国では依頼する側される側、売り手買い手であろうと基本的に立場は対等なのである。このような根本的な価値観の違いを知らずに客である自分は上の立場だという前提で良し悪しを判断するのは正しくない。

列に並ばないというのも噂では聞いていたが、やはり実際体験すると驚いてしまった。はじめ列に並ばないのは、自分さえよければいいという自己中心的な考えのもとの行為だと思っていたが、中国で暫く生活していくうちにそうしなければ自分の順番は一生回ってこないということがよくわかった。交通も同じである。いちいちクラクションに反応して譲っていたらいつまでたっても道を渡れないのである。はじめは抜かされても唖然として何も言えなかった私も後半には自分の番だと主張するようになっていた。しっかり主張すれば抜かす相手も悪い顔などすることなく納得する。日本では全てがルールに頼って動いているが、ルールのない中国では間違っていたらそれは違うと自分の口ではっきり言うしかないのである。
ルールよりも対等な個人と個人が主張しあい、物事が進んでいくという感覚は不思議であるが暫くすれば当然のように馴染んでくる。私自身も帰国した日、電車待ちで無意識に列を抜かしていた自分にとても驚いた。そこに悪意などは全くなく、私には当然になっていたのである。

你好と谢谢しか分からない状態で行ったため、語気の強い中国語に圧倒されはじめは全員が怒っているように思えた。しかし観光案内をしてくださった延辺大学の学生はじめ中国語の発音矯正をしてくださったスーパーのおばさん、ラーメンを食べさせてくれたおじさん、飛行機で色々助けてくれたおばさんなど親切な人は多かった。日本は嫌われていると疑心暗鬼になっていた自分がなんだか恥ずかしい。国の括り関係なく一個人として相手を見るべきという当然の事を忘れていた。

日本と中国の文化は真逆のような相容れない関係であるため、理解し難いまさに異文化と言えるだろう。そのような異文化に浸った一週間は驚きと学びの連続であり、非常に貴重な体験であった。

平川 絢景
posted by masutanis at 14:25| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | kanko14 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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