今回ゼミ合宿で訪れた延辺は、今まで私が経験したことの無いような地であり、またそれと同時に如何に今まで実際の事実に触れないまま、色眼鏡をかけていたまま物事を見ていたかということに深く反省させられました。正直、いままで「中国」という地や民族に対して大きなイメージを持っていました。具体的に言えば、「中国人は何だか愛想や態度が悪い」や「国に制限されてばかりで自由に物事を考えられていないのではないか」と言ったものです。確かに、すべての人がその型にはまることはないことは訪れる前から分かっているつもりではいたのですが、やはり、新聞やマスメディアから得た一口サイズに食べやすく、理解しやすく、切り取られた情報からのイメージはあまりにも怖いことに簡単にぬぐうことはできませんでした。それは、大きな国である中国に対してあまりに単純すぎる幼稚な考えであったと恥ずかしく思っています。そのイメージをかえた契機となる出来事というのは合宿の中でいくつもありました。
まず、一つ目は延辺大学での学会準備でのことです。学生たちは、学会の準備を始める前から私たちと交流を持とうと、積極的に声をかけてきてくれました。個人同士での交流をはぐくむ中で、学生たちは「中国人」という枠にはまった人間ではなく、日本語を一年勉強して小柄でほのぼのとした性格のソンさんや、新潟に一年留学していた日本語の上手なメイシンさんといったように「名前のある個人」として考えることが出来ました。合宿4日目の学会閉会式前の準備の際は、前日の大雨のせいか会場の座席が水浸しになるというハプニングがありましたが、お互い冷静に案を出し合い、試行錯誤した上で何とか閉会式に間に合わせることが出来きました。(結果、延辺大学の学生の案で、モップに水を吸わせて手で直接絞るという大胆な方法で処理をすることになり、非常に驚いたのですが良い交流を持つ機会となったと思います…。)
夜のホテルでの懇親会では、中国人の日本語教師の方や、中国でマーケティングを教えていらっしゃるという先生方と相席になり、お話をすることが出来ました。中国では、(地方にもよると思うのですが)日本語の授業が英語や、第二外国語のように中学生から学校で学ぶのだそうで、会食の席でお話しをさせていただいた日本語教師の方は「特にやりたいこともなかったから日本語教師になんとなくなった。」とおっしゃっていて驚きました。それでも、日本語は流暢ですし、学会に参加されているので相当努力をされたのだろうと感じました。やはり、日本と中国の間には暗い歴史的背景があったことは頭に染みついてしまっているので、彼女が「なんとなく」という思いでも日本語に興味を持ち、選び取り、今は学生たちに教えている立場となっていることが、とても不思議で、また同時に素直に嬉しく思いました。マーケティング専門の先生からは、中国語の基本中の基本の発音を根気よく丁寧に教えていただきました。
懇親会の後、(舛谷先生に連れていかれるがままに)登った通称帽子山では、朝鮮系の中国人の親子と方とゼミ生のメンバーが仲良くなったことをきっかけに、市内を案内していただいた上に、アイスクリームやスナック菓子のようなものをゼミ生全員分買って下さり、さらには晩御飯の中国式?BBQまで御馳走して下さるという出来事もありました。
合宿7日目には、延辺大学の学生とともに尹東柱のゆかりの地である龍井に訪れました。その道中、シュウさんという学生の方に親しくしていただき、また短い時間でしたが深いお話をすることが出来ました。日本と中国の間にある「戦争の傷」という大きな壁に関しては、やはり向こうの学生も気になるようでシュウさんから「かなえはどう思うか」と尋ねられました。(不意に投げかけられた質問であったので)うまく答えることが出来ず、そこは少し心残りですが、シュウさんは、言葉をじっくりと選びながら「私は、国同士にあった歴史はお互いの立場で正しく知るべきだけれど、私たちのように仲良しな友達の関係が沢山出来たらもっと国の関係はよくなると思う。」とおっしゃっていました。核心をついた鋭い発言だと思います。国という大きな国同士での交流ではどうしても過去の歴史やそれらの認識の違いに縛られて前になかなか進めず、八方塞がりの様に思えてしまいます。ですが、個人レベルでの交流であれば多少の意見のぶつかり合いがあったとしてもより柔軟性を持って物事を考えていくことが出来ます。その個人での交流が大きく広がれば、日中の国交の完全な回復に一歩歩みを進めることが出来るかもしれません。彼女の発言の内容はもちろん、そのような話題を私と話してみたいとシュウさんが思ってくれたことは本当に驚きつつも嬉しい出来事でした。
最終日の朝には、寮から15分ほど離れた川沿いの朝市で、「君は日本から来たのか!」と色んな方に声を掛けていただきました。買うわけでもないのにも関わらす気さくに話しかけてくださる方もいらっしゃって、自分の今まで抱えていた偏見が馬鹿らしく思えました。
もちろん地域にもよると思いますが、今回の延辺合宿では出会う方、お話しする方みな一人ひとり「中国人」ではあっても個性的で気さくで、私たちに好意的な好奇心を持って接してくださったことが驚きでした。以前、私が旅行で訪れた台北では、出店の商品を眺めた後「やはり買わない」と立ち去った瞬間に塩を投げられるという経験をしました。韓国に旅行に出かけた友人は買い物をした際にお釣りを投げられたというエピソードを私にしてくれたこともあります。日本でも、コリアンタウンである新大久保駅で韓国の方を非難するデモ行進があったことも事実です。日本と中国、また朝鮮半島の間に大きな「暗い歴史の壁」が未だにあるのは事実でしょうが、だからといって「これだから中国の人は」などという安易な考えを持つのは「これだからB型の人は」などという発言と(同じと言ってしまうと語弊がありますので)似たようなものであると反省させられました。シュウさんは「絶対に日本に遊びに行くからね。」とWeChatの番号を渡してくれました。今度は私たち日本が本当の「おもてなし」を見せる番です。
舛谷ゼミ14生
中島加奈恵
2015年09月13日
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