2014年07月14日

川越のまちづくり

P7121836.JPGP7121847.JPGP7121880.JPGP7121888.JPGP7121902.JPGP7121965.JPGP7121982.JPG4年の土田です。

7月12日に埼玉県は川越でフィールドワークに行ってきました。



川越の中でも有名な蔵造りの町並みを中心にフィールドワークを行いました。

川越は川越市全体で年間600万人以上を動員している首都圏でも有数の観光地です。

その蔵造りの町並みでまちづくりに関わっている「NPO
法人川越蔵の会」に川越のまちづくりについてのお話を伺ってきました。その際にどのようなお話があったのかを振り返りながら、川越のまちづくりと課題だと思う点をまとめてみたいと思います。



1、「川越は観光客に来て欲しいわけではない。商店街の活性化が最大の目標」



川越蔵の会の方からこのようなお話がありました。

蔵造りの町並みを保存して商店街活性化をする経緯には、駅前の商店街や大型商業店舗に昔ながらの商店街が対抗するために始めたというのが始めた理由の一つとお話がありました。こういった流れの中で川越蔵の会は1983年に発足したそうです。

蔵造りの町並みを駅前の商店街に負けない商店街にするためには川越に昔からある産業を活かした店を大切にし、その店のリピーターになってもらうことを狙っていて、一過性の観光客はあまり必要としていないとのことでした。

しかし、現在では年間600万人が訪れる川越で一過性の観光客が多くなってしまっているのが課題であるとお話がありました。

川越蔵の会は住民による住民のための団体で、川越の町並みも観光客のために整備しているわけではないということが伺えました。もしかしたら観光学部の学生にとってみれば観光客目当てじゃないなら自分たちの勉強とは何も関係がないものと思った人もいるかもしれませんが、地域にまったく根ざしていないものを売り物にして観光客を呼び込み逆に地域の観光資源を壊してきたマスツーリズムの反省を活かして、このような地域に根ざした地域活性化が川越に限らず日本全国で行われているし、これからも一過性の観光よりも地域の文化を活かした観光が大切になってくると思うので、こういった地域活性化は観光が担う役割の一つだと思います。




2、「伝統的建造物群保存地区」と「歴まち法」



これも蔵の会とのお話の中で出てきた大事なキーワードです。

知らない人が多いようだったのでここで簡単に解説しておきます。



まずは「伝統的建造物群保存地区」について。

長ったらしい名前だけど、その名の通り「伝統的な」「建物たちが」「保存された」「地区」

ってこと。略して「伝建地区」って呼ばれています。

この伝建地区は京都や金沢や長崎など日本全国に今は108地区あって1975年に始まった法律です。

各自治体が古い町並みを伝建地区に指定して、勝手に古い建物を壊して現代的な建物に建て替えないように色々と規制をかけます。その代わりに建物の修理や改築には申請を役所に出せば、補助金が出るのが伝建地区の制度です。

その伝建地区の中でも特に保存状態がいいところを文化庁が文化財として選定して、選ばれた地区は「重要伝統的建造物群保存地区」として国からも補助金がもらえるという町並みにはとてもお得な制度です。略して「重伝建」と呼ばれています。
これが伝統的建造物群保存地区です。もちろん川越も重伝建地区に選ばれていて、国からの補助金で蔵造りの建物の修理や改築をしています。



次に「歴まち法」。

これは国の法律で正確には「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律」って言います。長すぎて誰も覚えられないので「歴史まちづくり法」って言い換えて、もっと短くして「歴まち法」って呼ばれています。2008年に始まった法律です。

国と自治体で地域にある歴史ある建物とかを守っていきましょうねってのが歴まち法。
伝建地区と何が違うのかというと、伝建地区よりも広い範囲を保存地区に設定してそこに補助金が出してもらえるのが歴まち法の大きなメリットです。

例えば、ある街に重要文化財になっている五重塔があってその周りの景観ももっと良くしたいねってなったら歴まち法で広い範囲を保存対象にして補助金をもらえる。五重塔のようなひとつの建物だけじゃなくて、さっき出てきた「伝建地区」も使える。だから川越も蔵造りの町並み(伝建地区)とその周りの景観を良くしようとするために歴まち法を使っています。

伝建地区との違いをさらに挙げると、伝建地区は「保存」するだけだったけれど、歴まち法は「景観向上」もしていきましょうというポジティブな考え方が入っています。

そして建物だけじゃなくて歴史ある景観(電柱とか街路灯など)や伝統的工芸品の技術も改善・保存対象に入れることができます。しかも技術指導も専門家がしてくれるから知識や技術がない地方自治体も安心して歴まち法を活かすことができる。こういった点で、伝建地区より歴まち法の方が総合的に歴史の風情を感じられるまちづくりができるようになったということです。

川越の方々はこういった法律を勉強会などで学び、地域活性化に活かしています。




3、課題

川越蔵の会の方からも少し触れていただきましたが、もともとは蔵造りの建物を壊して高層マンションにする計画もありました。今の時代は古い建物に住むよりも新しい建物に作り変えるのが一般的だし手間もかからないので、多くの街は古い建物を手放してきました。そんな時代の流れに逆らって残っているのが川越の町並みです。そしてただ残すだけじゃなくて地域活性化に役立てて、自分たちのような観光客をも楽しませてくれています。

フィールドワークを行った日は気温が35℃もあった日なので所々でお土産屋さんなどいくつかのお店に立ち寄りましたが、多くのお店はチェーン店にあるようなマニュアルの接客ではなく、家に帰ってきたような温かみのある接客をしてくれました。これだけの観光客が訪れているのにもかかわらず、いかに川越の商店では地元の人が働いているかが伺えました。

ただ、いくつかもったいないなと思うことがありました。

ひとつは川越の文化を体験できる施設がほとんどないことです。川越まつり会館や蔵造り資料館など、川越の文化を紹介する施設はありますが、どれも川越にまつわるものがただ展示されているだけで、川越にまつわるものを触ったり作ったりする体験ができないのがとても残念です。江戸時代や明治時代の文化を自分たちのような現代人が体験できることは、歴史を生かした観光地ではとても大切なことだと思うので今後はそういった施設が必要だと思いました。

もうひとつは蔵造りの町並みの周りの景観です。川越駅などから町並みまでの道のりはいくつか古そうな建物は点在していましたが、ほとんどが現代的な景観です。町並みからも現代的なマンションが見えるし、一歩町並みから外れるともう日常的な景色に変わってしまうことがとても残念でした。これは歴まち法でこれから改善されていくものかもしれませんが、現状ではまだまだ整備に物足りなさを感じます。

駅前の商店街と差別化するために町並み保存をしているから景観の連続性は必要ないと言われてしまえばその通りですが、観光客の立場からすると観光しているという実感が得られることは大切なことだと思います。住民主体のまちづくりと比較するのは野暮なことですが、テーマパークの王様、東京ディズニーランドは舞浜駅を降りた時から楽しめる仕掛けをいくつもしています。ディズニーの真似をする必要はないけれど、川越を楽しみながら知ってもらえる仕掛けが必要だなと思います。そしてそれは町並み保存とか景観整備とかの専門家じゃなくて観光の専門家の出番だと思います。



以上、川越のまちづくりのまとめと課題だと思うところを書いてみました。長くなってごめんなさい。



川越の伝建地区と歴まち法の風致地区を地図に落としてみました↓
見れるかわからないけど。

https://mapsengine.google.com/map/edit?mid=zdkMKdyPoRzw.k6XJ8Ln0j-nk




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立教大学観光学部観光学科
土田大樹(Daiki Tsuchida)
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posted by masutanis at 15:16| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | kanko11 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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